お金に困ったとき、ほとんどの人が銀行や消費者金融からの借り入れを検討しますが、それらの金融業者は誰にでも融資をしてくれるわけではありません。利用するには安定した収入が必要で、会社が倒産してこれから生活を再建しようというというような人は、融資を断られてしまいます。

そういう人たちのセーフティーネットとして、国がお金を貸してくれる仕組みがあります。ただし、あまり知られていないことから、利用するのに二の足を踏んでいる人も多いのではないでしょうか。

  • どこに相談すればいいの?
  • 借りたお金は何にでも使えるの?
  • いくらまで借りることができる?
  • 利用するための条件はある?

ここではそんな疑問を解決するために、国からお金を借りる方法について分かりやすく説明します。金融業者から借りることができなくて困っているという人は、ぜひ参考にしてください。

国が扱っている融資制度の種類

国が扱っている融資は、金融業者のカードローンのように、何にでも利用できるというものは少なく、使用用途ごとにいくつもの融資制度に分けられています。代表的な融資制度は下記のようなものがあります。

  • 生活福祉資金貸付制度
  • 母子父子寡婦福祉資金貸付金
  • 年金担保融資制度
  • 日本政策金融公庫
  • 日本学生支援機構の奨学金制度
  • 求職者支援資金融資

ざっと挙げただけでも6種類の融資制度があります。

このうち生活福祉資金貸付制度の場合は、「総合支援資金」「福祉資金」「教育支援資金」「不動産担保型生活資金」の4種類の資金に分けられ、そこからさらに用途ごとに細分化されます。他の融資制度も同様に、細かく分類された用途に応じた資金を、目的に応じて借りるのが一般的です。

少し複雑なのは、それぞれの融資制度が同じ目的の資金を貸し出しているということです。どういうことかというと、教育のための資金は生活福祉資金貸付制度でも日本政策金融公庫でも借りることができます。これでは、どこから借りていいのかわかりませんよね。

そこで、このページでは用途ごとにどの融資制度を利用すればいいのか、その融資の特徴とともに紹介します。

生活に困って借りたい場合

様々なシーンでお金が必要になりますが、おそらく最も多いケースが生活資金の不足ですよね。このような場合に利用できる融資制度を紹介します。

生活福祉資金貸付制度・総合支援資金・生活支援費

利用条件 低所得者世帯、障害者世帯、高齢者世帯のいずれかに該当
限度額 2人以上:200,000円
単身:150,000円
貸付期間 原則3ヶ月、最長12ヶ月
金利 無利子(連帯保証人がいない場合:年1.5%)
据置期間 最終貸付日から6ヶ月
返済期限 据置期間経過後10年
連帯保証人 原則必要(なしでも可)
審査基準 据置期間後に滞りなく返済可能であること

生活福祉資金貸付制度・不動産担保型生活資金

利用条件 ・低所得者世帯かつ高齢者世帯、もしくは要保護の高齢者世帯
・資産価値のある居住用不動産を所持している
限度額 【低所得者世帯】
・土地評価額の70%程度
・月30万円以内

【要保護世帯】
・土地評価額の70%程度(集合住宅は50%)
・生活扶助額の1.5倍以内

貸付期間 借受人の死亡時までの期間、または貸付元利金が貸付限度額に達するまで
金利 年3%もしくは長期プライムレートのいずれか低い利率
据置期間 契約終了後3ヶ月
返済期限 据置期間終了時
連帯保証人 【低所得者世帯】必要
【要保護世帯】不要
審査基準 据置期間後に滞りなく返済可能であること

母子父子寡婦福祉資金貸付金・生活資金

利用条件 母子家庭、父子家庭、寡婦かつ下記条件を満たすこと

  • 知識技能習得期間
  • 医療または介護を受けている期間
  • 母子家庭、父子家庭になって7年未満
  • 失業中期間
限度額 知識技能習得期間:141,000円
その他の期間:103,000円
生計中心者ではない場合:69,000円
金利 無利子(連帯保証人がいない場合:年1.0%)
据置期間 6ヶ月
返済期限 6年
連帯保証人 原則必要(なしでも可)
審査基準 据置期間後に滞りなく返済可能であること

年金担保融資制度

年金担保貸付制度は令和4年3月末で申込受付が終了します。制度終了後は「生活福祉資金貸付制度」を利用してお金を借りることになります。

利用条件 厚生年金、国民年金、労働者災害補償保険年金、船員保険年金を受給している
限度額
  • 10万~200万円
  • 受給している年金の0.8倍
  • 1回あたりの返済額の15倍
金利 年2.1%(労災年金は1.4%)
据置期間 融資実行月の翌々月以降の偶数月
返済期限 2年6ヶ月
連帯保証人 必要
審査基準
  • 生活保護受給中もしくは生活保護廃止後5年以内でないこと
  • 使用用途がギャンブルでないこと
  • 同一の年金で借り入れをしていないこと

求職者支援資金融資

利用条件
  • 職業訓練受講給付金の支給決定を受けている
  • ハローワークで、求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けている
限度額
  • 単身:月額5万円×受講予定訓練月数
  • 家族あり:月額10万円×受講予定訓練月数
金利 年3.0%(保証料率込)
据置期間 訓練終了月の3ヶ月後の末日(利息は返済する)
返済期限 5年(貸付額が50万円以上の場合は10年)
審査基準 求職者支援給付金のみでは生活費が不足する

教育資金として借りたい場合

学校の進学のための準備、授業料や通学費などのためにお金を借りたい場合には下記の融資制度を利用しましょう。

生活福祉資金貸付制度・教育支援資金

利用条件 低所得者世帯
限度額 【教育支援費】月3.5万~6.5万円
【就学支度費】50万円
金利 無利子
据置期間 卒業後6ヶ月
返済期限 据置期間経過後20年
連帯保証人 不要(世帯内で連帯借受人が必要)
審査基準 据置期間後に滞りなく返済可能であること

母子父子寡婦福祉資金貸付金・修学資金

利用条件
  • 母子家庭、父子家庭
  • 父母のない児童の就学に直接必要な授業料、書籍代、通学費等に利用
限度額 月額27,000~96,000円
金利 無利子
据置期間 卒業後6ヶ月
返済期限 20年以内
専修学校(一般課程)5年以内
連帯保証人 不要
審査基準 据置期間後に滞りなく返済可能であること

母子父子寡婦福祉資金貸付金・就学支度資金

利用条件
  • 母子家庭、父子家庭
  • 父母のない児童の就学・修業にあたり必要な入学金、被服購入費等に利用
限度額 63,100~590,000円
金利 無利子
据置期間 小中学校 入学後6ヶ月
その他 卒業後6ヶ月
返済期限
  • 小中学校 1年以内
  • その他 同時貸付の修学資金と同じ期間(20年)
  • 修業施設 5年以内
連帯保証人 不要
審査基準 据置期間後に滞りなく返済可能であること

日本政策金融公庫・教育一般貸付(国の教育ローン)

利用条件
  • 年収790万円以下(子どもが1人の場合)
  • 進学や学業に必要なお金に利用する
限度額 350万円
金利 年1.71%
据置期間 在学期間中(利息のみ支払い)
返済期限 15年以内
連帯保証人 不要
審査基準 据置期間後に滞りなく返済可能であること

日本学生支援機構の奨学金制度

利用条件 国内の大学・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)および大学院で学んでいる
限度額 月額1万~15万円
金利 無利息(利息がつく融資もあり)
据置期間 在学期間中
返済期限 定めなし(毎年の所得で返済額が変わる)
連帯保証人 必要
審査基準
  • 据置期間後に滞りなく返済可能であること
  • 一定水準の学力があること
  • 世帯収入が上限金額以下であること

事業資金を借りたい場合

事業を始めるときには大きなお金が必要になります。その資金も国から借りることができます。

母子父子寡婦福祉資金貸付金・事業開始資金

利用条件
  • 母子家庭、父子家庭の親
  • 開業のための設備費や材料購入資金として利用
限度額 2,870,000円
金利 無利子(連帯保証人がいない場合:年1.0%)
据置期間 1年
返済期限 7年以内
連帯保証人 原則必要(なしでも可)
審査基準 据置期間後に滞りなく返済可能であること

母子父子寡婦福祉資金貸付金・事業継続資金

利用条件
  • 母子家庭、父子家庭の親
  • 事業の継続・拡張するために必要な設備費・材料購入費として利用
限度額 1,440,000円
金利 無利子(連帯保証人がいない場合:年1.0%)
据置期間 6ヶ月
返済期限 7年以内
連帯保証人 原則必要(なしでも可)
審査基準 据置期間後に滞りなく返済可能であること

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫には3つの融資制度で、企業や事業の継続を支えています。

  • 国民生活事業:小規模企業向けの小口資金や新規開業資金の融資
  • 中小企業事業:中小企業向けの長期事業資金の融資
  • 農林水産事業:農林漁業や食品産業向けの事業資金

起業したばかりで実績がないような場合には、銀行からの資金調達ができません。そのようなときに利用するのが日本政策金融公庫です。標準的な融資である「普通貸付」で借りたときの利用条件等は下記のようになります。

利用条件 中小企業の方
限度額 4,800万円
金利 年0.2~2.95%
据置期間 1年
返済期限 5年以内
審査基準
  • 据置期間後に滞りなく返済可能であること
  • 個人信用情報機関に金融事故の履歴がないこと

その他にも融資制度はとても細分化されていますので、詳細は日本政策金融公庫のホームページ(https://www.jfc.go.jp)でご確認ください。

総合支援資金貸付制度とは

生活に困ったときに利用する制度として、生活福祉資金貸付の総合支援資金貸付制度を紹介しましたが、この制度についてもう少し詳しく説明します。

生活福祉資金貸付は低所得者世帯や、高齢者世帯、障害者世帯をサポートするための制度で、該当する世帯が、生活に困ったときに利用するのが総合支援資金貸付制度です。利用するためには、まず居住地域の市区町村社会福祉協議会に相談する必要があります。

低所得者世帯など生活に困窮している人のための制度ですので、手続きをするときには、それらを証明するための書類が必要です。申し込みをするときには下記の書類を用意してください。

  • 借入申込書
  • 求職活動などの計画書
  • 世帯月額支出内訳書
  • 健康保険証及び住民票の写し
  • 源泉徴収票(給料明細書等でも可)
  • 雇用保険受給資格者証(離職票や個人事業廃業届などでも可)
  • 他の公的貸付制度の利用状況がわかる書類
  • 総合支援金の借用書

この他にも相談時に指示された書類の提出を求められることもあります。

緊急小口資金貸付制度とは

生活福祉資金貸付には総合支援資金貸付制度以外にも、緊急小口資金貸付制度と呼ばれる融資制度があります。下記のような緊急かつ一時的に生計の維持が困難になったときに、国からお金を借りることができます。

  • 医療費や介護費の支払いで生活費が必要になったとき
  • 火災などによって生活費が必要になったとき
  • 年金や保険などの支払開始までに生活費が必要になったとき
  • リストラや休業で収入が減り生活費が必要になったとき
  • 公共料金や税金、保険料の支払いで生活費が必要になったとき
  • 給与などの盗難によって生活費が必要になったとき

貸付条件

貸付限度額 10万円
金利 無利息
据置期間 2ヶ月
返済期限 12ヶ月
審査基準 不要

本当に生活に困ったときに、一時的な借り入れとして利用できるのが緊急小口資金貸付制度です。必要になったときは、居住地域の市区町村社会福祉協議会に相談しましょう。申し込みには下記の書類を用意してください。

  • 世帯全員分の住民票
  • 本人確認書類
  • 印鑑登録証明書および実印
  • 世帯全員分の収入証明書類
  • 預金通帳の写し
  • 緊急でお金が必要であることが分かる書類

総合支援均貸付制度と緊急小口資金貸付制度の違い

総合支援均貸付制度と緊急小口資金貸付制度は、いずれも生活に困ったときに利用できる制度でよく似ていますが、明確に使用用途が決まっています。

総合支援資金:生活の立て直し
緊急小口資金:想定外の出費に対するセーフティーネット

総合支援資金は、お金を借りることによって、貧困状態から抜け出すことを目的としています。現状は低所得者世帯であっても支援することにより生活が安定し、きちんと働ける環境を整えるための制度です。

緊急小口資金は、そもそも生活がぎりぎり安定している状態のところに、火事や事故などで思わぬ出費があって、生活費に困ってしまうときに利用する制度です。通常の生活の中でお金に困っても、緊急小口資金は利用できませんので注意してください。

まとめ

お金が必要になったときは金融業者から借りるのが原則ですが、金融業者はある程度生活が安定している人にしか融資をしてくれません。そんなときは国からお金を借りることになります。国からの借り入れも、返済できることが大前提ですが、目先の安定収入がなくても、将来的に就職する意志と可能性があるなら融資を受けられます。

  • 国の融資制度は複数ある
  • 同じ目的に利用できる融資制度がいくつかある
  • 自分の環境にあった融資制度をチョイスする

まずは、何のためにお金が必要なのかを明確にしてください。生活資金が必要なのか、教育資金が費用なのか、それとも事業資金が必要なのかによって、利用すべき融資の種類が違います。利用条件と借入可能額、金利と返済方法をきちんと調べて、自分に最適なものを選びましょう。

また、国からお金を借りる場合には、金融業者から借りるよりも融資開始までに時間がかかります。金融業者と同じ感覚で利用すると、本当にお金が必要なときまでに間に合わないということもあります。時間の余裕を十分に確保した上で、利用申込を行ってください。